認知症の診断基準

【認知症の基礎知識】 【認知症の分類】

現在、認知症の概念を統一し、医療上の共通のものさしとするための国際的な診断基準が作られています。
その代表的なものは、DSM-III-R(精神疾患の分類と診断の手引き)で、ほぼ世界共通に用いられています。

 【DSM-Ⅲ-R(精神疾患の分類と診断の手引き)による診断基準】

 

A.短期記憶障がい・長期記憶の障がいで証明される。
短期記憶障がい新しい出来事を覚えることができない)はたとえば、3つの物品を覚え、5分後に想起できないことで証明できる。
長期記憶障がい過去に知っていた事柄を想起できない)は自分に関する過去の事柄(たとえば、昨日の出来事、 出生地、職業)あるいは一般常識(たとえば、過去の大統領、だれでも知っている日付)を想起できないことで証明できる。

 

B.次のうち少なくとも一つがある。

  1. 抽象的思考の障がい : たとえば、関連のある単語の類似点、相違点を言うことができない。単語の定義や概念を言うことができない。
  2. 判断の障がい : 対人関係、家族、職業などに関係した問題を合理的な計画を立てて処理することができない。
  3. その他の高次大脳皮質機能障がい : 失語(言語障がい)、失行(理解や運動機能の障がいがないにもかかわらず動作ができない)、失認(知覚機能障がいがないにもかかわらず対象を認識したり弁別したりすることができない)
    構成障がい(たとえば、立体図形の模写、積み木を積むこと、マッチ棒で図形を作ることができない)
  4. 性格変化 : 病前性格の変化あるいは先鋭化。

 

C.A、Bの障がいにより職業、日常社会生活、対人関係が障がいされる。

 

D.A、B、Cの状態がせん妄状態(幻覚・錯覚が見られる状態)の時だけに生じるのではない。(意識障がいが無い)

 

E.1あるいは2

  1. 病歴、身体所見、臨床検査所見から脳の器質性因子の存在が証明される。
  2. 1 のような証明はないが、原因となる器質性因子の存在が推測される。

診断基準では、先に述べたDSM-Ⅲ-Rを改変した厚生省研究班によるもの(表1)が一般的です。
ここでは、5つの満たされるべき条件が提示されています。

 

(表1) 認知症の診断基準(厚生省研究班1989一部略より)

1.記憶障がいを認める   → 著しいもの忘れ
2.次のうち少なくとも一つがある 
  抽象的思考の障がい → 考えが単純になった
  判断の障がい → 判断を間違えやすい
  その他の高次大脳皮質機能障がい → ことばがうまく使えない
  性格の変化 → 人柄が変わった
3.1,2の障がいにより 
  職業・日常社会生活・対人関係に支障をきたしている → 一人では生活できない
4.意識障がいがない → 頭ははっきりしている
5.器質性因子の存在が証明される → 脳の病変がある

 

認知症は、脳が変化した結果現れるので悪化し続けて治らないといわれてきました。しかし、複数の要因が加わっているのが一般的であり、その中には改善できるものもあるため、その治療を行うことで全体としての認知症状を改善することもできます。そのうえ、最近では、認知症そのものを部分的ながらも改善させる治療法が見つかってきており、認知症は永続的ではないといわれるようになりました。

(福島県認知症予防実践マニュアルを参考に記載)